リハビリ評価・計算ツール|解説記事

2026年(令和8年)診療報酬改定|PT・OT・STが押さえるべきリハビリ関連の変更点

執筆・監修:理学療法士(臨床25年目)・認知症ケア専門士・病院リハ科長 | 運営者について →
2026年6月1日施行

2026年(令和8年)診療報酬改定|PT・OT・STが押さえるべきリハビリ関連の変更点

令和8年度診療報酬改定は2026年6月1日に施行されます。今回の改定はリハビリテーション領域において「過去最大級」とも言われる変更が含まれており、現場への影響は小さくありません。

この記事では、PT・OT・STの実務に直結する主要な変更点をまとめます。各項目の詳細は個別の解説記事にリンクしています。

📋 改定の全体的な方向性
今回の改定キーワードは「離床」と「アウトカム」。単位数を稼ぐ介入から、実際に患者の機能回復・生活再建につながる質の高いリハビリへ——という厚労省の意図が随所に反映されています。
📋 今回の改定で現場が特に意識すべき3点
①ベッドサイドリハ減算——「離床」を前提にした目標設定への転換。個々の患者の訓練メニューを組む段階から、いつ・どうやって離床させるかを目標設定に組み込んでおく必要が出てきそうです。

②看護・多職種協働加算——役割の線引きは急性期だけの話ではありません。看護配置に多職種を組み込むという発想自体は、地域包括ケア病棟や回復期病棟など他の病棟類型にも広がっていく可能性があります。急性期に限らない病院全体の話として、今のうちから療法士の役割の線引きを意識しておいたほうがよさそうです。

③みなし単位——「見える化」の範囲は今後も広がる可能性。療法士の業務のうち個別リハ以外の時間を制度上初めて可視化した動きとも言え、今後この範囲が広がったり、一定のまとまりで評価する「丸め」方式に近づいていく可能性も視野に入れておいたほうがよいかもしれません。

① ベッドサイドリハビリ(離床を伴わない訓練)の減算

要注意
離床なし・20分以上の個別療法は10%減算・1日2単位上限
脳血管・廃用・運動器・呼吸器・心大血管の疾患別リハビリにおいて、ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみを行う場合、所定点数の90%で算定(10%減算)。さらに1日2単位を上限とする規定が新設されました。自発的な運動を含む訓練や、医師が医学的に必要と認めた場合は除外対象となります。疑義解釈(その2)で該当患者の詳細が示されています。

現場予測:当院でも、現場から最も多く挙がる質問が「この訓練はベッドサイド減算になりますか」というものです。基準そのものよりも、目の前の一つひとつの訓練がどちらに当てはまるかの判断に、現場は一番悩んでいます。一部では、離床が難しい重症患者に対しても、算定を優先して他動運動主体の介入を続けてしまっていたケースがあったと考えられます。今後はカルテ上で離床できない医学的理由を明確に説明できる状態にしておくこと、そして訓練メニューを組む段階から、離床してどういったゴールを目指しているのか、その目標を明確にしておくことが必要になりそうです。

→ ベッドサイドリハ減算の詳細・除外条件はこちら

② 早期リハビリテーション加算の見直し

拡充
3日以内は25点→60点に増点。起算日と算定期間を見直し
早期リハビリテーション加算が大幅に見直されました。

【点数の変更】
入院から3日以内:25点 → 60点(35点増)
入院4日目以降:25点のまま維持

【起算日の変更】
改定前は「発症・手術・急性増悪の日」が起算日でした。改定後は「入院した日」が起算日になります。転院患者は転院前の入院日が起算日となるため、転院後すぐに算定期間が終了しているケースに注意が必要です。

【算定期間】
改定前は疾患によって30日・14日とバラバラでしたが、入院した日から14日目までに統一されました。

【初期加算(45点/単位)との関係】
初期加算(起算日:発症・手術・急性増悪の日、算定期間:14日)は存続しており、早期リハ加算との併算定が可能です。入院1〜3日目に両方を算定すると、最大60+45=105点/単位の上乗せとなります。

【経過措置・注意点】
6月1日時点で既に早期リハ加算を算定中の患者は起算日を変更しません。6月1日時点で15日目以降の患者は、6月1日以降の算定は不可となります。また、ベッドサイドリハ(離床なし)の場合でも、早期リハ加算を算定中の患者は減算の除外対象となります。

【疑義解釈その6(2026年5月21日)より】
同一医療機関に継続入院中に別疾患が発症しても、早期リハ加算の起算日は変わりません。転院・再入院が発生した場合は転院日・再入院日が新たな起算日となります。

現場予測:当院でも、実際に間違いが最も多いのが、この早期リハビリテーション加算です。とりわけ転院時に間違いが起きやすく、前の病院での入院日数を通算せずに数えてしまうケースが目立ちます。転院患者の受け入れタイミングが、早期リハ加算の算定可能期間に影響するようになります。地域連携室との情報共有スピードも、これまで以上に重要になりそうです。

💡 急性期リハビリテーション加算(新設)
今改定では、早期リハ加算・初期加算とは別に急性期リハビリテーション加算(50点/単位)が新設されました。重症の患者等を対象に、入院から14日を限度として算定できます。施設基準の届出が必要です。

早期・初期・急性期の違い

この3つは名前が似ていますが、対象患者の広さが大きく違います。

早期リハビリテーション加算初期加算急性期リハビリテーション加算
点数入院1〜3日目60点/4〜14日目25点45点/単位50点/単位
起算日入院した日発症・手術・急性増悪の日発症・手術・急性増悪の日
算定期間入院した日から14日目まで起算日から14日を限度起算日から14日を限度
対象患者疾患別リハ料の対象患者全般同左(一部退院患者も例外的に対象)重症患者に限定(BI10点以下・認知症ランクM以上・特別な処置・感染対策要の感染症のいずれか)
施設基準届出不要必要必要(常勤医師配置が要件の一つ)
💡 一番の違い
早期リハ加算・初期加算は疾患別リハビリ料の対象患者であれば基本的に算定対象になりますが、急性期リハビリテーション加算だけは対象が重症患者に限定されています。
→ 早期リハビリテーション加算の詳細・転院時の起算日・疑義解釈その6はこちら

③ 休日リハビリテーション加算の新設

新設
入院患者の土日祝リハビリに25点/単位を加算
休日リハビリテーション加算(25点/単位)が今改定で新設されました。

【対象】入院中の患者(外来リハビリのみの診療所は算定不可)
【算定期間】起算日から30日目まで
【起算日】疾患によって2グループに分かれます。脳血管疾患等・運動器は発症・手術・急性増悪の日、心大血管・廃用症候群・呼吸器は発症等から7日目または治療開始日のいずれか早い日です。廃用症候群は脳血管疾患等と混同されやすいので注意が必要です。
【対象日】土曜日・日曜日・祝日

【算定できない患者】
4月2日付の訂正通知で対象外患者が明示されました。運動器リハビリの慢性疾患患者(関節の変性疾患・炎症性疾患等)と、呼吸器リハビリの慢性疾患患者(COPD・気管支喘息等)は対象外です。急性疾患・術後・急性増悪を伴わない慢性期の患者には算定できないと理解しておくことが実務上の安全策です。

【経過措置】
5月31日以前に入院し、6月1日以降も継続入院している患者にも算定できます。その場合の起算日は入院日(5月31日以前)のままで構いません。患者ごとの起算日管理が必要です。

【回復期リハ病棟との関係】
回復期リハ病棟(入院料1〜4)は今改定で土曜・休日を含む全日リハ提供体制が施設基準として要件化され、休日の平均提供単位数が「2単位以上→3単位以上」に引き上げられました。これは休日リハ加算とは別の枠組みです。休日体制が元々必須の回復期では、急性期・地域包括ケア病棟向けのこの加算が特に意識されます。

現場予測:運動器・呼吸器の慢性疾患患者が除外対象になったことで、「誰が対象患者か」を判定する業務が新たに発生します。休日勤務体制(当番制・シフト)を検討する病棟では、対象患者数の見込みを先に精査しておかないと、体制だけ整えて算定できない事態になりかねません。

→ 休日リハビリテーション加算の詳細・算定判定フローチャートはこちら

④ リハビリテーション計画書・評価料の変更

変更
計画書が統合・簡素化。署名欄廃止・説明者拡大
リハビリテーション実施計画書と総合実施計画書が統合され、様式が簡素化されました。主な変更点は以下の通りです。

・患者等の署名欄が廃止されました
・説明者の範囲が拡大:これまで「医師が説明する」とされていたものが、看護師・PT・OT・STでも説明可能になりました(ただし回復期リハ病棟の患者は引き続き医師による説明が必要)
・目標設定等支援・管理料(H003-4)が廃止され、関連する減算規定もなくなりました

書類業務の負担軽減が図られた一方、院内の説明・記録フローを改めて整理し直す必要があります。
変更
リハビリテーション総合計画評価料が「初回」と「2回目以降」に区分
リハビリテーション総合計画評価料の評価が2区分に整理されました。

初回 2回目以降
評価料1 300点 240点
評価料2 240点 196点
評価料1と評価料2の切り替えは、標準的算定日数の「3分の1」が基準です。脳血管(180日)なら60日目、運動器(150日)なら50日目、廃用(120日)なら40日目が切り替えの目安です。心大血管・呼吸器・がん・認知症は介護保険の有無に関わらず常に評価料1が適用されます。

【経過措置】5月31日以前に評価料1または2を算定していた患者は、6月1日以降は「2回目以降」として算定します。

現場予測:医師以外(PT・OT・ST・看護師)が説明を担えるようになったことで、療法士が家族への説明を単独で行う場面が増える可能性があります。説明責任と対人スキルが、これまで以上に療法士個人単位で問われることになりそうです。

⑤ 看護・多職種協働加算の新設

新設
急性期病棟での多職種追加配置を評価する加算が新設
急性期病棟において、看護職員に加えてPT・OT・STなどの多職種を追加配置した体制を評価する「看護・多職種協働加算」が新設されました。

たとえば50床の病棟で、10対1の看護配置に加えてさらに25対1で2名追加配置する形のイメージです。この追加の2名にPT・OT・STが含まれてもよいとされています。

表向きの意図は「連携強化」ですが、現場視点では人手不足対応の側面もあります。看護師不足の中で病棟を回すために多職種を組み込む仕組みとも読めます。みなし単位(訓練外業務の可視化)と方向性が重なっており、「療法士が訓練室の外でも役割を持つ」という流れが強まっています。

リハ三協会(PT・OT・ST協会)は実践指針を公表し、「3療法士は恒常的な介護業務や生活介助を担うものではない」と明記しました。役割が拡大する中で専門性をどう守るか、現場での事前の合意形成が重要です。

現場予測:リハ三協会が「恒常的な介護業務は担わない」と明記したことから、現場での役割の曖昧さを懸念しているとも読めます。今回は急性期病棟が対象ですが、看護配置に多職種を組み込むという発想自体は、地域包括ケア病棟や回復期病棟など他の病棟類型にも広がっていく可能性があります。急性期に限らない病院全体の話として、療法士の役割の線引きを今のうちから意識しておいたほうがよさそうです。

→ 看護・多職種協働加算の詳細・リハ職の役割を考える記事はこちら

⑥ みなし単位(リハ外業務の単位算定)

慎重に見る
訓練以外の業務を20分合算で1単位とみなす整理が入った
専従のPT・OT・STが疾患別リハビリテーション料および集団コミュニケーション療法以外の特掲診療料に係る業務(医学管理等・在宅医療・リハビリテーション・精神科専門療法など)に従事した時間を合算し、20分につき1単位とみなして実施単位数に含める整理が入りました。なお記録時間・移動時間・家族指導・施設助言等は含めない業務です。

ただし注意が必要です。現時点ではレセプト請求はできないというのが定着しつつある解釈です。「1単位とみなす」ことは18単位上限のカウントに含まれるという意味であり、請求できる単位数が増えるわけではありません。個別リハの請求枠を圧迫するという論点は引き続き残ります。詳細は個別記事を参照してください。

現場予測:みなし単位は現時点、訓練外業務を1単位相当としてカウントする整理にとどまりますが、療法士の業務のうち「個別リハ以外の時間」を制度上初めて可視化した動きとも言えます。レセプト請求はできないのに18単位上限にはカウントされるという構造上、積極的に使うほど個別リハの算定枠が圧迫されるため、部署として運用方針を統一しておく必要がありそうです。今後、可視化の範囲がさらに広がったり、個別の単位計算ではなく一定のまとまりで評価する「丸め」方式に近づいていく可能性も、選択肢の一つとして視野に入れておいたほうがよいかもしれません。

→ みなし単位の詳細・レセプト請求の考え方はこちら
⚠️ みなし単位のレセプト請求は不可
現時点の解釈ではレセプト請求は不可とされています。18単位上限のカウントには含まれるため、個別リハの算定枠を圧迫するリスクに注意が必要です。職能団体や都道府県の指導も合わせて確認してください。

⑦ 回復期リハ病棟:実績指数の大幅見直し

要注意
加点ルール新設・除外要件厳格化・基準値引き上げ
回復期リハ病棟の実績指数について、複数の変更が同時に行われました。

【加点ルール新設(令和8年度改定で追加)】
「歩行・車椅子」または「トイレ動作」が入棟時5点以下→退棟時6点以上に改善した患者は、FIM利得に1点加点されます(1人あたり最大2点)。

【除外要件の厳格化】
80歳以上の除外が廃止(全年齢が対象に)、FIM認知項目の除外基準が24点以下→14点以下に厳格化、除外割合の上限が3割→2割に縮小されました。

【基準値の引き上げ】
入院料1:40以上→42以上。入院料2・4に基準値が新設(32以上)。新設の強化体制加算(80点/日)は実績指数48以上が要件です。

現場予測:除外できる患者割合が3割→2割に縮小し、80歳以上の除外も廃止されたことで、高齢・重症患者を多く受け入れている病棟ほど実績指数への影響が大きくなります。これは入院・外来医療分科会でも「効果の出やすい患者だけを選別してしまう懸念(クリームスキミング)」として議論されている論点で、受け入れ患者の選別圧力が強まるリスクは、業界全体で指摘されているところです。

→ 実績指数の計算式・除外要件・基準値の詳細はこちら

変更点の一覧まとめ

項目 変更内容 区分
ベッドサイドリハ 他動的な訓練のみ→10%減算・1日2単位上限 要注意
早期リハ加算 増点・要件整理 拡充
休日リハ加算 新設(25点/単位、入院患者・起算日から30日・土日祝) 新設
リハ計画書 説明・署名→多職種説明・記録確認へ 変更
看護・多職種協働加算 新設 新設
みなし単位 訓練外業務20分=1単位の整理(請求可否は要確認) 慎重に見る
実績指数 加点ルール新設・除外要件厳格化・基準値引き上げ(入院料1:42以上) 要注意

この改定の本質

これまでのリハビリの評価では、療法士個人の算定単位数が現場運用を考えるうえで大きな指標の一つになっていました。

今回の改定を並べて見えてくるのは、少なくとも評価の軸が変わりつつあるということです。ベッドサイド減算は、ゴールの見えない維持的な訓練だけを続けることに歯止めをかけ、次の場所(在宅・介護分野)への移行を見据えた関わりへと促す設計になっています。早期リハ加算の増点は、より早く介入し、より早く退院につなげることへの評価であり、そのぶん地域連携室や他サービスとの連携の質が問われる場面が増えます。実績指数の厳格化も、退院時にどこまで機能が戻ったかをより厳しく問う制度です。並べてみると、いずれも「今この単位をどう積むか」ではなく「この患者が次にどこへ向かうか」を問う方向に、評価軸が動いているように見えます。

ただし、今回の改定でこの流れが完成したわけではありません。ベッドサイド減算にせよ実績指数にせよ、まだ制度としては途中の段階だと感じています。

同じ時期に、骨太方針2026には「予防・医療・介護を通じた切れ目のないリハビリテーション」という一文が加わりました。病院の中で単位を積み上げて終わりではなく、退院後、地域や在宅までリハビリがどうつながっていくかを問う方向です。診療報酬側の変化と、この政策文書が向いている方向は、私は同じ方向を向いていると読みました(骨太方針とリハビリの関係はこちらの記事で詳しく解説しています)。

「単位を積み上げること」に強い職人から、退院までの——そして退院後までの——道筋を設計できるチームへ。今回の改定を一言でまとめるなら、そういう変化として捉えることができそうです。

この記事の情報について
本記事は2026年2月13日の中医協答申および厚生労働省公表資料・疑義解釈(その1〜その6)・関連通知の訂正(2026年5月)をもとに作成しています。施行後も追加の疑義解釈が出る可能性があります。算定判断は必ず最新の公式通知を確認してください。
この記事は、理学療法士(臨床25年目・認知症ケア専門士、病院リハビリテーション科長として勤務)が、臨床経験と厚生労働省等の一次資料をもとに執筆・監修しています。
経歴の詳細はこちら → 運営者について