回復期リハビリテーション病棟では、リハビリの効果を測る指標として「リハビリテーション実績指数」が用いられています。入院料の施設基準にも組み込まれており、この数値が基準を下回ると算定できる単位数が制限されるなど、病棟運営に直結する重要な指標です。

この記事では、実績指数の正確な計算式と、令和8年度(2026年度)診療報酬改定で変更された点をまとめます。計算式と改定内容に加えて、後半ではリハ科長として現在値をどう見るか、現場での確認の仕方も整理します。

この記事で分かること
  • 実績指数の正確な計算式
  • 令和8年度改定での加点・除外要件・基準値の変更点
  • リハ科長としての現在値の見方

実績指数の計算式

実績指数は、退棟した患者のFIM運動項目の改善度を、在院日数と入棟上限日数の比で補正したものです。

リハビリテーション実績指数
実績指数
Σ(退棟時FIM運動項目得点 − 入棟時FIM運動項目得点)
Σ(各患者の在院日数 ÷ 各患者の入棟上限日数)
※ 分子はFIM運動項目(13項目・91点満点)の利得のみが対象です。認知項目は含みません。
※ 分母は単純な在院日数の合計ではありません。各患者ごとに「在院日数÷入棟上限日数」を計算し、その合計です。
※ ここでいう「入棟上限日数」は回復期リハビリテーション病棟入院料における入棟上限日数(別表第九の二)であり、疾患別リハビリテーション料の算定日数上限(運動器150日等)とは異なります。
※ スケーリング(×10や×100)は掛けません。割り算の結果がそのまま実績指数の値になります。

分母の考え方

分母がこの計算式の要点です。在院日数をそのまま使うのではなく、回復期リハ病棟の入棟上限日数で割ることで「入院期間をどれだけ使ったか」を0〜1の比率に変換しています。

例えば、入棟上限日数が90日の大腿骨骨折術後の患者が72日で退院した場合、分母への寄与は 72÷90=0.8 です。入棟上限150日の脳血管疾患の患者が135日で退院した場合は 135÷150=0.9 です。

この仕組みにより、短い期間で改善させた方が実績指数は高くなります。

計算例(厚労省の説明に基づく)

前提条件

直近6か月間に50人が退棟。内訳は以下のとおり。

  • 大腿骨骨折術後 30人:入棟時FIM運動項目50点→退棟時80点、在院72日(入棟上限90日)
  • 脳卒中 20人:入棟時FIM運動項目40点→退棟時65点、在院135日(入棟上限150日)
STEP 1:分子(総FIM利得)を計算
(80−50)×30人 +(65−40)×20人
= 900 + 500 = 1,400
STEP 2:加点ルール(令和8年度改定で新設)を適用

退棟患者のうち、以下に該当する者がいた場合、分子に加点します。

  • 「歩行・車椅子」が入棟時5点以下→退棟時6点以上に改善:20人
  • 「トイレ動作」が入棟時5点以下→退棟時6点以上に改善:30人
加点 = 1点×20人 + 1点×30人 = 50
総FIM利得 = 1,400 + 50 = 1,450
STEP 3:分母を計算
(72÷90)×30人 +(135÷150)×20人
= 0.8×30 + 0.9×20
= 24 + 18 = 42
STEP 4:実績指数を算出
実績指数 = 1,450 ÷ 42 = 約 34.5

実績指数計算

個人単位で試算する:実績指数計算ツール

実績指数の計算に必要なFIMや在棟日数を入力すると、令和8年度改定の加点ルールを反映して個人単位の実績指数を自動計算します。除外候補や目標値との差も確認できるため、現在値の確認や退棟前の見込み値を検討するときにお使いください。

  • FIM13項目+認知5項目を入力(FIM評価ツールからの貼り付けにも対応)
  • 歩行・車椅子、トイレ動作の加点を自動判定
  • 除外候補を表示
  • 目標実績指数との差を確認
  • 算定上限日数を疾患区分から選択
  • 在棟日数を日付から自動計算
  • 参考指標としてFIM効率も表示

※このツールは実績指数を上げる方法を示すものではなく、現在値の確認・計算の補助を目的としています。

入棟日と基準日(今日 or 退院予定日)を入れると、下の「在棟日数」に自動反映されます。手入力でも上書きできます。

FIM運動項目(13項目)

項目入棟時退棟時見込み

FIM評価ツールの「スコアをコピー」ボタンは18項目(運動13+認知5)をまとめてコピーします。 このツールでは入棟時・退棟時見込みをそれぞれ別のタイミングで貼り付けてください(貼り付けた18項目は自動で運動・認知に振り分けられます)。 お使いのブラウザによっては、貼り付け時にクリップボードへのアクセス許可を確認するポップアップが表示される場合があります。

FIM認知項目(5項目)

項目入棟時退棟時見込み

計算結果サマリー

参考指標:FIM効率

※ FIM効率(運動+認知合計の利得÷在棟日数)は臨床上よく使われる参考指標です。実績指数の計算には使用しません(実績指数の分子は運動項目の利得+加点のみで、認知項目は含みません)。

30日ごとの実績指数目安

経過日数30日60日90日120日150日
目安実績指数

※ 現在入力されているFIM利得・加点をそのまま維持した場合の、経過日数別の実績指数の目安です(実際の改善ペースを予測するものではありません)。

※ 本ツールは簡易試算用です。実際の届出・施設基準確認では、厚生労働省通知・疑義解釈・各地方厚生局の確認を必ず行ってください。
※ 除外候補に該当しても、最終的に除外できるかどうかは施設全体の除外割合(2割以内)や運用により異なります。
※ 入力データはすべてブラウザ内で処理され、外部に送信されることはありません。

令和8年度改定:加点ルール(最大2点)

令和8年度改定で、FIM運動項目のうち「歩行・車椅子」と「トイレ動作」に対する加点ルールが新設されました。

歩行・車椅子
入棟時 5点以下
退棟時 6点以上
+1点
トイレ動作
入棟時 5点以下
退棟時 6点以上
+1点

加点は分子の総FIM利得に加算されます。両方に該当すれば1人あたり最大2点の加点です。どちらか一方のみでも加点対象になります。

この加点の意味

5点以下は「監視〜全介助」の水準、6点以上は「修正自立以上」の水準(補助具の使用等を含む自立水準)です。つまり「自分でトイレに行ける」「自分で移動できる」という在宅復帰に直結する改善を、実績指数に上乗せして評価する仕組みです。

経過措置:除外基準と加点ルールで適用方法が異なる

疑義解釈その2によると、除外対象・除外割合については「入棟時の基準」が適用され、2026年5月31日までに入棟した患者には改定前の基準を用いてよいとされています。一方、加点ルール(歩行・車椅子、トイレ動作)については、2026年7月以降に実績指数を算出する場合、算出対象期間のすべての患者に適用して差し支えないとされています。

つまり除外基準は「入棟時点の基準」、加点ルールは「算出時点の基準」で適用されます。この違いは現場で混乱しやすいポイントですので、実績指数の算出時に注意が必要です。

令和8年度改定:除外要件の変更

実績指数の算出対象から除外できる患者の要件も見直されました。

除外要件 改定前 改定後
80歳以上 除外可能 削除(除外不可に)
FIM運動項目20点以下 除外可能 1日平均6単位超の場合は除外不可
FIM認知項目 24点以下で除外可能 14点以下に厳格化
FIM運動項目76点以上 除外可能 除外可能(継続)
除外割合の上限 3割以内 2割以内
80歳以上の除外廃止について

厚労省の分析では、80歳以上でもリハビリの効果がFIM得点に反映されることが示されています。年齢のみを理由とした除外は廃止され、全年齢が実績指数の算出対象となりました。

FIM運動項目20点以下の除外について

FIM運動項目20点以下の患者は引き続き除外可能ですが、疾患別リハビリの実施単位数が1日平均6単位を超えている場合は除外対象から外れます。「6単位を超えるリハビリを提供しているのであれば、その効果も実績指数に反映すべき」という考え方です。

なお、この除外を適用する場合は「一覧性のある台帳」にその経緯が分かるよう記載する必要があるとされています。実務上、除外した患者のリストと除外理由を台帳として整備しておくことが求められます。

FIM認知項目の除外基準厳格化

FIM認知項目による除外基準が24点以下から14点以下に引き下げられました。これまでは比較的軽度の認知機能低下でも除外可能でしたが、改定後は重度の認知機能低下がある患者に限定されます。加えて、除外割合の上限も3割から2割に縮小されており、除外できる患者数自体が減ることになります。

入院料別の実績指数基準値

入院料 改定前 改定後
入院料1 40以上 42以上
入院料2 基準なし 32以上(新設)
入院料3 35以上 37以上
入院料4 基準なし 32以上(新設)
入院料5 基準なし
強化体制加算 48以上(新設)

入院料2・4に初めて実績指数の基準値が設定されました。2026年3月末時点で届出済みの病棟については、同年9月末までの経過措置があります。

実績指数が低いとどうなるか

実績指数が2回連続して基準を下回ると、疾患別リハビリテーション料の算定が1日6単位までに制限されます。

項目 改定前 改定後
6単位制限の発動基準 2回連続 27未満 2回連続 30未満

基準が27から30に引き上げられたことで、より多くの病棟が制限対象になる可能性があります。

リハ科長として、実績指数の「現在値」をどう見るか

ここからは制度の解説ではなく、病院リハビリテーション科長としての現場運営の話です。実績指数は入院料の施設基準やリハビリテーションの運用に関わる重要な指標です。実績指数の基準は令和8年度改定で40から42へ引き上げられ、現場の負荷感は年々増しています。だからこそ、数字の扱い方を間違えると、患者と担当者の両方を追い込みます。

リハ科長として、実績指数の現在値を把握することは病院運営に直結します。しかし、数字ばかり追いすぎると、患者へ無理な能力向上を求めたり、担当セラピストへ負担やプレッシャーをかけたりします。私は帳票を見るだけでなく、担当セラピストに状況を聞き、必要なら一緒に患者の動作を確認します。今の点が無理のない設定になっているかを、病棟の実態で判断するためです。このひと手間が、実態の伴った回復期運営と、職場の雰囲気を守ることにつながると感じています。

先に決めておくこと

FIMは訓練室で一度できた最大能力ではなく、病棟でしているADLを見る指標です。したがって科長が見る順番は、次でよいと思っています。

  1. 病棟でその動作は、その点数に見合う介助量か
  2. 目標は無理のない設定か
  3. その結果として、実績指数の現在値はどうなっているか

追うのは指数です。操作するのは点ではありません。根拠は、病棟の動作確認に置きます。

「現在値」は2本持つ

現場感覚と届出値を混ぜないことが、いちばん大事です。

確定値は遅れます。先行値は予測です。どちらも、採点根拠が病棟実態と一致していて初めて使います。在棟中の人の平均伸びを「いまの実績指数」と呼ぶと、届出と必ずずれます。

計算の中身は本文の計算式と同じです。分子は運動FIM利得に歩行・車椅子とトイレ動作の加点を足したもの、分母は患者ごとの「在棟日数÷入棟上限日数」の合計、認知FIMは分子に入れません。

(実際に個人単位で試算したい場合は、本ページ内の実績指数計算ツールもあわせてご活用ください。)

数字の前に、点の意味を見る

点数が動く前に、点が病棟の介助量を表しているかを見ます。

ここにずれがあるなら、指数の議論より先に採点を戻します。点が低いこと自体より、点が実態と違うことの方が危険です。

除外と分母も、理由で見る

除外は指数を大きく動かします。だからこそ、数字合わせに使いません。除外するときは「指数が落ちるから」ではなく、基準に当たるか、その人を対象に残す意味があるかを見ます。80歳以上という理由だけでは除外できません。除外枠の20%は、使い切る前提ではなく、誰を対象に残すかの判断枠です。

指数が下がった月は、利得不足だけを見ません。在棟延長、疾患区分と上限日数の取り違え、待機退院でも分母は膨らみます。誰かの努力不足に見える変化が、実は在棟日数の問題であることはよくあります。

科長の確認の仕方

報告を受け取ったら、先に担当へ状況を聞きます。必要なら、食事、トイレ、移乗、歩行など、指数に効く動作を一緒に見ます。見る観点は「もっと上げられるか」ではなく、次です。

歩行・トイレの5点から6点は加点対象です。ただし、加点のために見守りを外す判断はしません。外せる状態になってから点を動かします。

事務・看護と定義を揃える

リハ科の表と届出値が違うと、現場だけが焦ります。月1回でよいので、退棟者名簿、入棟日と退棟日、疾患区分と入棟上限日数、入棟時・退棟時の運動FIM13項目、歩行・車椅子とトイレ動作の項目点、除外理由と除外人数、運動FIM20点以下の人の平均単位数を突合します。ずれがあれば、まず定義と記録を直します。担当者の努力不足として返さないようにします。

科内に共有している原則

実績指数は追う。操作しない。根拠は病棟の動作確認にある。

この原則があれば、現在値は経営指標であると同時に、患者への無理とスタッフへの過圧を防ぐための指標にもなります。回復期の質は、指数の高さだけでなく、その指数が現場の実態と職場の空気を壊していないかで決まる、というのがいまの考えです。

※この項は運営上の助言であり、施設基準の適否を判断するものではありません。届出と算定は、最新の通知・疑義解釈と自院の事務部門の判断を優先してください。

あわせて知っておきたい:重症患者の定義変更

実績指数と合わせて、回復期リハ病棟の重症患者の定義も改定されています。

追加された対象

変更された基準

FIM運動20点以下が除外される理由

FIM運動項目20点以下の患者ではリハビリを行ってもFIM利得がほとんど得られないケースがあることが、厚労省の分析で示されています。重症患者の定義から外すことで、回復の見込みが高い重症患者への集中的なリハビリを促す意図があります。

まとめ

実績指数はFIM運動項目の利得を在院日数÷入棟上限日数で割っただけのシンプルな計算式ですが、令和8年度改定で加点ルールの新設、除外要件の厳格化、基準値の引き上げと、複数の変更が入りました。

特に80歳以上の除外廃止、FIM認知項目の除外基準厳格化(24点以下→14点以下)、除外割合の縮小(3割→2割)、そして入院料2・4への基準値新設は、多くの回復期リハ病棟に影響する変更です。自院の実績指数を新しい計算方法で再計算し、改定後の基準値をクリアできるか確認しておくことをお勧めします。

数字の確認と同時に、その点が病棟でしているADLと一致しているかを見る。これが、実績指数を運営指標として使うときの最低条件だと考えています。

この記事は、理学療法士(臨床25年目・認知症ケア専門士、病院リハビリテーション科長として勤務)が、臨床経験と厚生労働省等の一次資料をもとに執筆・監修しています。
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参考文献・出典