PT・OT・ST・機能訓練指導員向け 無料評価・計算ツール集
📐 歩数を入力すると、歩行速度・歩幅・歩行率(ケイデンス)も自動計算されます(10m歩行タブ)
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歩行評価ツールは、TUG(Timed Up and Go Test)と10m歩行テストをブラウザ上のストップウォッチで計測・記録できる無料ツールです。複数回の計測から平均タイムを自動算出し、歩行速度・歩幅・歩行率(ケイデンス)も計算します。理学療法士・作業療法士が現場で日常的に実施する歩行評価を、スマートフォン・タブレット・PCから登録不要で利用できます。入力データはすべてブラウザ内で処理され、外部に送信されることはありません。
TUGは1991年にPodsiadloらによって提唱された、移動能力とバランスを評価する簡便なテストです。標準的な高さの椅子から立ち上がり、3m先の目印を回って戻り、再び着座するまでの時間を計測します。歩行補助具の使用は許可されますが、他者の介助なしで実施します。
判定の目安として、10秒未満は自立歩行が可能、11秒以上は日本整形外科学会の運動器不安定症の診断基準に該当、13.5秒以上(Shumway-Cook基準)は転倒リスクありとされています。20〜29秒では歩行に不安定さが見られ、30秒以上ではADLに介助が必要な状態とされています。
10m歩行テストは、10mの歩行路を快適速度または最大速度で歩いた際の時間を計測し、歩行速度を算出するテストです。歩行速度は「第6のバイタルサイン」とも呼ばれ、高齢者の機能予後や死亡リスクとの関連が多くの研究で示されています。
歩行速度の目安として、1.0m/s以上は信号横断が可能で屋外歩行が自立しているレベル、0.8m/s以上は屋外歩行可能、0.8m/s未満では転倒リスクが高く屋外歩行が困難とされています。また歩数を合わせて入力することで、歩幅と歩行率(ケイデンス)も算出できます。
歩行率(ケイデンス)は、1分間あたりの歩数を表す指標です。歩数を時間で割ることで算出され、歩幅・歩行速度とあわせて歩行の質を見る3要素のひとつとされています。
目安値は身長による個人差が大きく、長身の場合は約90歩/分、身長が低い場合は約125歩/分程度とされています。臨床的に興味深いのは、加齢によってケイデンス自体は大きく変化しない一方、歩行速度の低下は主に歩幅の減少によって起こるとされている点です。歩行速度が遅い方を見る際は、「歩数のペースは保たれているか、歩幅だけが狭くなっているか」という視点で分けて観察すると、原因の見立てがしやすくなります。
TUG・10m歩行で最も現場の意見が割れやすいのが、杖や歩行器などの歩行補助具の扱い方です。「補助具あり/なしのどちらで測定するか」「結果の解釈や施設間の比較をどうするか」で、セラピスト間・施設間の意見が分かれやすく、議論になりやすいポイントです。
10m歩行では、助走路(前後2〜3m)の有無や快適/最大速度の選択に加え、補助具の使用で速度が大きく変わります。カットオフ値(0.8m/s前後で自立度が変わる目安)への影響が大きいため、測定条件を毎回同じにする、あるいは条件を明記して記録することが欠かせません。経過を見る場合は、前回と同じ条件で測定しないと改善・悪化を正しく比較できません。
TUGでも同様に、杖の持ち方や肘掛けの利用は個人差がタイムに直結します。回る方向(右/左)や、「楽な速さ」と「最大努力」のどちらで教示するかの解釈違いでも、タイムはズレます。
TUGはタイムを測る検査ではなく、動作を観察する検査です。立ち上がり→往路歩行→方向転換→復路歩行→着座という一連の動作を、パートごとに分解して見るのが基本です。
立ち上がりでは、体幹の前傾具合や速度、腕への依存度を見ます。動揺が大きい、複数回試行する、非対称な荷重が見られる場合は、下肢筋力やバランス低下のサインです。歩行部分では、歩幅・リズム・上体の姿勢、特に中間部で加速する際のふらつきに注意します。
なかでも一番のハイリスクポイントは方向転換です。きれいなUターンができているか、細かいステップを繰り返すピボットターンになっていないか、麻痺側・弱い側を軸にした危険な回り方をしていないかを見ます。方向転換時の転倒は、直線歩行時の転倒と比べて特にリスクが高い局面とされており、タイムが良くてもここが乱れている場合は要注意です。着座では、勢いよく座り込んでいないか、座る直前のふらつきがないかを見ます。
10m歩行では、歩幅の左右対称性やリズムの一貫性、後半にかけて速度が落ちていないか(疲労の影響)を見ます。転倒リスクの兆候としては、上体の側方への動揺、足のクリアランス低下(床を擦る音や様子)、二重課題(会話をしながら等)での明らかな悪化が挙げられます。逆に、非常に速く歩ける方でも、制御が伴わない過信によるリスクがあることには注意が必要です。
TUG・10m歩行では、どうしても筋力・バランス・歩容といった身体機能に目が向きがちです。しかし、実際の臨床判断で差が出るのは、認知・注意・実行機能という文脈的な要因であることが少なくありません。
特に見落とされやすいのが、二重課題下での悪化です。単独歩行では問題なく見えても、「話しながら」「何かを持ちながら」歩くと、明らかにふらつきや速度低下が出る方がいます。日常生活では、この二重課題の場面こそが転倒の引き金になります。
もう一つは、教示の解釈違いです。認知機能の低下がある場合、「普段通りに」「できるだけ速く」という指示の意味を正しく理解できず、必要以上に慎重になったり、逆に無理をしてしまったりすることがあります。
タイム自体は悪くないのに、方向転換の瞬間だけ迷って止まる、という動作が見られる場合、認知負荷の高い場面で問題が露呈しているサインです。
必要に応じて二重課題条件で評価すると、単独歩行では見えない課題が明らかになることがあります。
TUGは合計タイムだけを見ると、同じ秒数の人は同じ状態だと誤解しがちです。しかし動作の中身を見ると、抱えているリスクはまったく異なります。
| 観察点 | Aさん(12秒) | Bさん(12秒) |
|---|---|---|
| 立ち上がり | スムーズ、腕を使わない | やや前傾・手すりに手を添える |
| 方向転換 | きれいなUターン | 細かいステップを繰り返す・ふらつく |
| 二重課題(会話しながら) | 速度・動作にほぼ変化なし | 明らかに減速する・止まる |
| 主な要因 | 単純な下肢筋力・持久力の低下 | バランス・注意機能の低下 |
| 優先したい介入 | 下肢筋力トレーニング | 方向転換練習・二重課題トレーニング |
同じ12秒でも、Aさんは「ゆっくりだが安定している」、Bさんは「速度は出せるが方向転換と二重課題で崩れる」という異なるリスクを抱えています。カットオフ値だけで同じ対応をしてしまうと、Bさんの転倒リスクを見逃すことになります。
補助具の条件、方向転換での動きの質、二重課題での崩れ——同じタイムの裏側には、まったく違うリスクが隠れています。
数字はスタートラインでしかありません。そこから何を観察するかが、TUG・10m歩行を臨床判断に変える分かれ目です。
Q. TUGと10m歩行テストはどう使い分けますか?
A. TUGは立ち上がり・歩行・方向転換・着座という一連の動作を評価するため、日常生活動作の移動能力全般を把握したい場合に適しています。10m歩行テストは純粋な歩行速度の評価に特化しており、歩行能力の定量的な経過観察や他施設との比較に向いています。目的に応じて使い分けるか、両方を組み合わせて実施することが多いです。
Q. 快適歩行と最大歩行のどちらで計測すべきですか?
A. 目的によって異なります。快適歩行速度は日常の歩行能力を反映し、再現性が高いため経過観察に適しています。最大歩行速度は歩行能力の上限を評価するため、回復状況の把握や運動機能の最大値を知りたい場合に使用します。どちらで計測したかを記録しておくことが重要です。
Q. 歩行補助具を使用している場合はどう記録しますか?
A. 本ツールでは補助具の記録欄は設けていませんが、印刷後に手書きで追記するか、患者名欄に「T字杖使用」などと記入して記録することをお勧めします。補助具の有無は経過比較の際に重要な情報となります。
Q. 入力したデータはどこかに送信されますか?
A. すべての計測・計算はブラウザ内で完結しており、入力されたデータが外部サーバーに送信されることはありません。患者情報を含む内容も安心してご入力ください。