2026年6月の診療報酬改定で、休日リハビリテーション加算(25点/単位)が新設されました。発症・手術・急性増悪後の患者が土日祝日にリハビリを受けた場合に加算できる仕組みで、「切れ目のないリハビリテーション」を評価する制度設計です。

4月2日付の訂正通知で算定できない患者の条件が明示されているほか、外来患者の扱いや他加算との併算定など実務上の注意点があります。

概要

点数25点/単位
施行日2026年6月1日(令和8年度改定で新設)
対象日土曜日・日曜日・祝日
算定期間起算日から30日目まで
対象入院患者(一部例外あり)
届出施設基準の届出が必要

起算日(疾患によって異なる)

起算日は疾患別リハビリテーション料の種類によって異なります。一律ではない点に注意が必要です。

疾患別リハビリ料起算日
心大血管・呼吸器 発症・手術・急性増悪から7日目、または治療開始日のいずれか早い日
廃用症候群 発症・手術・急性増悪の日(廃用症候群の急性増悪を含む)
脳血管疾患等・運動器 発症・手術・急性増悪の日
⚠️ 廃用症候群は「発症の日グループ」
廃用症候群は心大血管・呼吸器と混同されやすいですが、起算日は脳血管疾患等・運動器と同じ「発症・手術・急性増悪の日」です。7日目グループではない点に注意が必要です。

算定できるか判定フローチャート

判断の分岐が多い加算です。自施設の患者に当てはめる際の確認フローとして使ってください。

休日リハ加算 算定判定フロー
① 土曜・日曜・祝日のいずれかに実施したか?
NO(平日のみ)
加算の対象外
YES
次へ(3日全てに対応する必要はなし)
② 入院患者か(または対象退院患者か)?
NO(通常の外来)
算定不可
YES
次へ
③ 慢性疾患(急性増悪なし)の運動器・呼吸器患者か?
NO
次へ
YES
算定不可
④ 心大血管疾患・呼吸器リハビリ料の患者か?
YES(心大血管・呼吸器)
起算日=発症等から7日目、または治療開始日の早い方
NO(脳血管・運動器・廃用症候群)
起算日=発症・手術・急性増悪の日
⑤ その起算日から30日以内か?
NO(31日以降)
算定不可
YES
次へ
✅ 算定可能
💡 現場でよく聞かれる質問
当院でも「土曜だけ、日曜だけしか対応できないが算定できるか」という質問を受けたことがあります。答えは「できる」です。休日リハ加算は日単位で判定するため、土曜・日曜・祝日のうち対応できた日だけを算定すればよく、3日すべてに体制を組む必要はありません。

対象患者と外来患者の扱い

基本は入院患者

休日リハビリテーション加算の対象は原則として入院中の患者です。外来リハビリのみを実施している診療所では算定できません。

例外的に算定できる退院患者

💡 退院患者で算定できるケース(訂正通知より)
  • 脳血管疾患等リハビリ:脳卒中の患者で当該医療機関を退院した者、または他院から「地域連携診療計画加算」を算定して退院した者
  • 運動器リハビリ:大腿骨頸部骨折の患者で「地域連携診療計画加算」を算定して退院した者
いずれも限定的なケースです。通常の外来リハビリ患者には算定できません。

算定できない患者(訂正通知で明示)

4月2日付の訂正通知で、算定対象外となる患者が明示されました。現場で最も混乱しやすいポイントです。

🚨 算定できない患者(訂正通知より)
  • 運動器リハビリテーション:関節の変性疾患・炎症性疾患等の慢性疾患患者
  • 呼吸器リハビリテーション:COPD・気管支喘息等の慢性疾患患者
急性疾患・術後・急性増悪を伴わない慢性期の患者には算定できません。
⚠️ 慢性疾患でも急性増悪があれば算定可
変形性膝関節症の患者でも、転倒による骨折術後で急性増悪が明確な場合は算定対象になります。「慢性疾患だから全員NG」ではなく、急性増悪の有無が判断の分岐点です。病名・発症経緯の記録を明確にしておくことが重要です。

他の加算との併算定

休日リハ加算は早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算と併算定が可能です。入院初期の土日祝日に算定できる場合、上乗せ点数は最大で以下のようになります。

📊 入院3日以内の土日祝日 最大上乗せ点数(1単位あたり)
休日リハビリテーション加算25点
早期リハビリテーション加算(3日以内)60点
初期加算45点
急性期リハビリテーション加算(新設)50点
合計180点/単位
💡 すべてを同時に算定できるとは限らない
急性期リハビリテーション加算は施設基準の届出が必要で、対象患者の条件も異なります。上記はあくまで理論上の最大値です。自施設の届出状況と患者の状態を確認のうえ算定してください。

週の上限単位数と「1週間」の定義

療法士が1週間に提供できるリハビリテーションの上限は108単位です。この「1週間」は日曜日から土曜日までと定義されています(疑義解釈その1)。

院内の管理表が月曜始まりの場合、算定確認用の読み替えが必要です。休日リハ加算を算定する場合でも108単位の枠内での提供となるため、土日に多く提供した分、平日の提供可能単位数が減ります。

経過措置

2026年5月31日以前に入院し、6月1日以降も継続入院している患者にも算定できます。起算日が5月31日以前であっても、その日を起算日とみなして6月1日以降の要件を満たす日に算定可能です(疑義解釈その1・問39)。

💡 経過措置のポイント
算定期間は起算日から30日のため、6月1日時点で既に起算日から30日を超えている患者は算定できません。患者ごとの起算日と残日数の管理が必要です。

施設基準の届出について

休日リハビリテーション加算そのものに、独自の施設基準届出はありません。疾患別リハビリテーション料(心大血管・脳血管疾患等・運動器・呼吸器等)の施設基準を届け出ていれば、そのまま算定対象になります。この加算のために特別な「休日専用の専従スタッフ」を新たに用意する必要もありません。

💡 施設基準のポイント
  • 休日リハ加算に独自の届出様式はない:各疾患別リハビリ料(Ⅰ〜Ⅲ等)の届出と専従配置がそのまま前提になります
  • 休日加算独自の専従要件はない:既存の専従スタッフが週108単位の範囲内で休日にリハビリを提供できる体制が実質的な基準
  • 365日体制は必須ではない:土曜日のみ対応する場合でも、その日に算定要件を満たす患者に算定できる
  • 回復期リハ病棟・地域包括医療病棟は別途要件あり:病棟の施設基準として休日の提供体制(回復期は1日平均3単位以上等)が求められる場合があります
  • 疾患別リハビリテーション料の届出自体を行わずに算定すると返戻・指導の対象となるため注意

回復期リハ病棟との関係

📝 算定可否は断定できません
回復期リハビリテーション病棟(入院料1〜4)で休日リハビリテーション加算(25点/単位)が算定できるかどうかは、明確に示した条文・疑義解釈が確認できておらず、現時点では断定できません。

回復期リハビリテーション病棟入院料1〜4では、土曜・休日を含む全日のリハビリテーション提供体制そのものが、入院料算定の施設基準として要件化されています。この体制要件と、休日リハビリテーション加算(25点/単位)という個別加算の算定可否がどのような関係にあるのかは、当サイトでも一次資料や関係機関への確認を進めています。確認でき次第、内容を更新します。

💡 実際に算定しているという声もあります
当サイトへの読者からの情報提供によると、回復期リハ病棟でこの加算を実際に算定している医療機関もあるようです。断定できる一次資料がない以上、これを「正解」として推奨するものではありませんが、判断材料の一つとして共有します。最終的な算定可否は、各医療機関で地方厚生局または支払基金へご確認いただくことをおすすめします。
💡 現場の感覚として
回復期に転棟してくる患者の多くは、すでに起算日から30日を超えているか、あるいは急性期でも急性増悪の局面を過ぎた「回復期リハを要する状態」で入ってくることがほとんどです。当院の感覚でも、起算日から30日以内・かつ急性増悪を伴う患者が回復期の病棟にいる場面自体、そう多くはありません。仮に休日リハ加算の対象になり得るとしても、対象となる休日そのものが限られるため、算定可否がどちらに転んでも現場への影響は限定的だと感じています。1患者あたりの加算点数の小ささと、算定根拠が断定できないリスクを天秤にかけ、当院では無理に算定しない判断をしています。他院での算定実績が、審査支払機関の査定・返戻や地方厚生局の適時調査でどう扱われるかを見極めてから、改めて判断する予定です(いずれも理学療法士としての臨床経験に基づく所感であり、算定可否そのものの結論ではありません)。

📌 参考:入院料本体の施設基準(加算とは別の制度)

以下は休日リハビリテーション加算そのものではなく、回復期リハ病棟の入院料を算定するための施設基準(全日提供体制)が今改定でどう変わったかを示す表です。

入院料全日提供体制の要件休日の提供単位数
入院料1・2既存の要件(今改定でも継続)1日平均2単位以上→3単位以上に引き上げ
入院料3・4今改定で新たに要件化入院料1・2と同様の見直しの対象
入院料5対象外(今回の見直しは1〜4が対象)

紛らわしい「休日リハビリテーション提供体制加算」(60点/日)に注意

⚠️ 名前が似ている別の加算
回復期リハ病棟にはこれまで「休日リハビリテーション提供体制加算」(60点/日)という、本記事の休日リハビリテーション加算(25点/単位)とは別の加算がありました。改定前の対象は入院料3・4・5と回復期リハビリテーション入院医療管理料で、入院料1・2はもともと対象外でした。今改定で、入院料3・4が全日提供体制の要件化に伴いこの加算の対象から外れ、算定できるのは入院料5と回復期リハビリテーション入院医療管理料のみになっています(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 4.包括期・慢性期入院医療」で確認済み)。

経過措置

経過措置として、2026年3月31日時点で入院料2または4を届け出ていた病棟は、2026年9月30日までの間、リハビリテーション実績指数の基準を満たしているものとみなされます。また、2026年3月31日時点で入院料3または4を届け出ていた病棟は、同じく9月30日までの間、休日を含む全日のリハビリ提供体制の要件を満たしているものとみなされます。まさに今回のテーマである全日提供体制について、猶予期間が設けられている形です。

算定する前に考えること

休日リハビリテーション加算、算定要件を満たすことより先に考えることがあるかもしれません。

休日出勤が常態化すれば、家庭を持つスタッフへの負担は確実に上がります。

当院でもこの加算を算定していますが、休日出勤のための増員やシフトの強制は行っていません。出勤できるスタッフが対応できた範囲で算定すればよい、という考え方です。

理由はいくつかあります。まずスタッフの多くが子育て世代であり、休日出勤を前提にした運用は働きやすさの面でマイナスに働きます。次に、25点/単位という点数は土日祝日限定である以上、増員のコストを回収できる見込みが立ちにくいという収益面の現実もあります。さらに、休日出勤の負担が大きい職場は採用の場面で選ばれにくくなりますし、休日リハに人を割く分だけ外来対応のスタッフが手薄になり、その影響も無視できません。

実務では、休日出勤当番のシフトを組む段階ではなく、その日出勤できたスタッフの受け持ち患者の中に、このフローチャートに当てはまる人がいるかを確認する運用が現実的です。起算日と残日数を患者ごとに一覧化しておくと、当日の判断がスムーズになります。

加算を算定するかどうかは、点数の話だけでなく、チームの状況や採用への影響も含めて判断する必要があると思います。

制度を「使えるから使う」ではなく、「チームとして持続できるか」を軸に。

実際に導入した施設では、平日の人員配置や外来体制への影響を事前に試算することをおすすめします。

まとめ:実務上の確認ポイント