FIM利得は、入院中にFIMスコアがどれだけ改善したかを示す指標です。回復期リハ病棟では実績指数の計算にも直結するため、PT・OT・STにとって避けて通れない数字になっています。
この記事では、FIM利得の計算方法・FIM効率との違い・実績指数への影響・入院時評価の注意点を整理します。
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FIM利得は「退院時のFIMスコア」から「入院時のFIMスコア」を引いた値です。入院から退院までの間にADL自立度がどれだけ改善したかを数値で表します。
入院時FIM(運動項目):30点
退院時FIM(運動項目):65点
FIM利得(運動項目)= 65 − 30 = 35点
FIM利得が大きいほど「入院中に大きく改善した」ことを意味します。ただし入院時のFIMが低い(重症)患者ほど改善の余地が大きく、入院時のFIMが高い患者はそもそも利得が出にくい傾向があります。この点が実績指数の設計にも影響しています。
FIM効率との違い
FIM利得と混同されやすいのがFIM効率です。
| FIM利得 | FIM効率 | |
|---|---|---|
| 何を示すか | 改善の「量」 | 改善の「速さ」 |
| 計算式 | 退院時FIM-入院時FIM | FIM利得÷在院日数 |
| 実績指数との関係 | 直接使用される | 直接使用されない |
| 注意点 | 重症患者ほど大きくなりやすい | 短期間で退院した患者が高くなりやすい |
実績指数との関係
回復期リハ病棟の実績指数の計算には、FIM利得(運動項目)が分子として使われます。
つまり、FIM利得が大きい患者が多いほど実績指数が上がります。ただし分母に「在院日数÷入棟上限日数」が入るため、同じ利得でも在院日数が短い患者の方が実績指数への貢献が大きくなります。
5点以下は監視〜全介助の状態(介助者が必要、または一人では安全に行えない水準)(監視・最小介助・中等度介助・最大介助・全介助)、6点以上は「修正自立以上」に相当します。つまりこの加点ルールは「見守りが必要な状態から、一人でできる状態への改善」を評価しているとも言えます。
現実的な手段として、入棟時に歩行・トイレ動作が5点以下の患者をリストアップし、退棟時に6点以上を目指す介入計画を立てることが実績指数向上の出発点になります。
実績指数への貢献が大きい患者像
実績指数の計算式を見ると、FIM利得が大きく、かつ在院日数が入棟上限日数に対して短い患者ほど、実績指数への貢献が大きくなります。この観点から、入棟時FIMが中等度(おおよそ20〜50点台)の患者は、改善の余地が十分ありながら在院日数も比較的短くなりやすく、実績指数に貢献しやすい患者層と考えられます。
一方、入棟時FIMが極めて低い重症患者は改善余地は大きいものの在院日数も長くなりやすく、入棟時FIMが高い患者は改善余地が少ない傾向があります。どの患者層に重点的に介入するかを意識することが、実績指数の安定につながる可能性があります。
FIM利得がマイナスになるケース
FIM利得がゼロまたはマイナスになる患者は、どの施設にも一定数存在します。主な原因は3つです。
- 廃用の進行:長期臥床・活動量低下により入院時より機能が低下するケース
- 疾患の進行:神経変性疾患・がん等で回復が見込めない、または悪化するケース
- 評価の不統一:入院時評価が甘く(高めに採点され)、退院時評価との間にズレが生じるケース
利得がマイナスの患者は実績指数を押し下げる要因になりますが、除外要件に該当する場合は計算から外れます。該当しない場合は「なぜマイナスになったか」を記録しておくことが、施設内の評価基準の見直しにもつながります。
入院時評価の注意点
FIM利得は「退院時-入院時」で計算するため、入院時評価の精度が結果に直結します。特に注意が必要なのは移動手段の評価です。
FIM利得の目安について
FIM利得の目安値は疾患・重症度・年齢・施設によって大きく異なるため、一概には言えません。脳血管疾患でも軽症と重症では利得の幅が全く異なりますし、同じ疾患でも入院時FIMの高さによって改善の余地が変わります。
実践的には、全国平均値と比較するよりも自院の過去データを蓄積して比較することの方が意味のある指標になります。回復期リハビリテーション病棟協会が毎年発行する調査報告書に疾患別の全国データが掲載されているので、自施設の数値と照らし合わせる際の参考にしてください。
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